南大阪の家Ⅰ

2012年
大阪府

建て替え前の敷地には祖父・祖母が住んでおられたとの
こと。その子供の頃の懐かしい想い出を、解体する前の
半ば廃屋状態となっていた家屋の中で切々と語って頂き
ました。建築にもし力があるとすれば、こうした家族と
の美しい記憶の背景に映像として僅かでも映り込んでく
れればという思いで設計しました。漆喰で塗り上げた壁
と天井、無垢の木材で、細密な格子に造り上げた手摺、
高い天井の子供室には遊び場となるであろう広大なロフ
ト、星の眺められる書斎のバルコニー、旧家屋に有った
ガラス窓を再利用した木製建具、ラインのように光る間
接照明、大きな窓から覗く紺碧の空、そんな記憶がきっ
とお子様たちの脳裏に焼き付くであろうことを期待して